学部ゼミを選ぶあなたに

概要

※本ゼミは2023年度より新規開講されるゼミであるため、情報が不確実である可能性があります。アップデートに努めてまいりますが、最新の情報については新歓の際に担当者に直接ご確認ください。

内容

本ゼミでは、富の生産と格差の拡大、経済発展と環境破壊、労働とジェンダーなど、現代にも通ずる資本主義社会の諸問題について歴史学的な方法を使って理解を深めていくことを目的とする。その際、特に「最初の産業社会」として世界各地に影響を与えることになったイギリスの事例を主たる対象としながら、学びを深めていく。
文献講読をゼミの中心に据え、古典と最新の文献の読解を日本語・英語の両方で行う。重要文献を正確に読み解き、論点を把握し、背後にある大きな研究動向を理解し、それらについて疑問点をまとめるのが最初のステップとなるだろう。
※ 参加者の関心に合わせて内容が変更される可能性もある。議論は日本語と英語で行うことができる。

授業計画

Sセメ:歴史的思考法を身につけるために歴史学の古典的名著(詳細はページ下部に)を中心に輪読する。
Aセメ:参加者の関心に合わせて、より具体的なテーマで事例研究を行う。
自主的に小論文を書いても良い(授業は基本的に日本語で行うが、英語・日本語共に可)。

他ゼミ比較

・経済史系の他のゼミは経済をメインに扱うが、山本ゼミは経済について学びつつも歴史学に重点があり、歴史をしっかり学べる。
・自分の関心分野に沿って柔軟に色々なものを読めたり分析したりできるのはこのゼミの大きな魅力。自分の興味分野を先生に言うとおすすめの文献を教えてもらえる。
・経済を主な話題にしながらも雰囲気は文学部のゼミに似ているかも。
・英語での論文執筆・プレゼンが可能。

メンバー構成

  • 人数:定員5-8名
  • 属性:院進・交換留学に興味を持つ人が多い
  • 性格:ディスカッションベースの授業なので、話すのが好き・ディスカッションが好きな人が多い
  • 兼ゼミ先:中嶋ゼミ・山口ゼミ・澤田ゼミ・青木ゼミ
  • 就職先:不明(23年度新規開講のため)

活動頻度

24年度は毎週月曜日4限(基本は延長しないが、変更の可能性がある。)
院生・研究員による木曜日4限の山本研究室のミーティングに学部生でも関心のある人は参加できる。(大学院の研究室ミーティングには、海外出身の研究者も複数在籍しており、研究の進捗報告やプレゼンなどを行っている。会話は日本語・英語のバイリンガルで進行をし、論文や発表に関することは英語で行うことも多い。)
(アップデート 2024/03/09)

募集 

説明会で詳しく説明予定であるが、募集の詳細は以下の通り。
・4年生の入ゼミは問題ない。3年生の入ゼミと同じように扱う。
・2次募集は必ず行う。 
・他学部履修も可能。
・興味をもっており演習をとおして今後さらに掘り下げたい歴史的テーマや経済問題について、今までに読んだ本や講義で印象に残ったことを中心に2000-3000字程度にまとめたエッセイを準備すること。本シラバスにリストされている参考文献を扱ってもよい。歴史的アプローチを採用するゼミなので、経済問題を扱う場合でも歴史的視点についてふれてみてほしい。
・ゼミ生(4年生)と教員を交えた面接を行う予定(zoomもしくは対面による面接)
(アップデート 2024/03/09)

年間予定

コンパ:学期に1−2程度の頻度で開催。
合宿等:23年度は3月に卒論構想発表会を1泊2日で八王子にある「大学セミナーハウス」にて開催した。24年度は夏休みにも卒論発表会などを行う可能性がある。

内部のホンネ

魅力

・経営や経済の歴史のファクトだけではなく、それを誰がどのように形成してきたのかというメタ的な考え方を一次資料や英語論文を読みながら考えることができる。経済学には時代ごとにベース(主流)となる考え方があるが、先生はそのベース自体に疑問をもたれ、歴史的な方法を通して経済学の方法そのものが正しいのか、その限界はどのようなところにあるのか検討する機会をくださる。
・自由。先生が参加者の関心に寄り添ってくれるため、他のゼミよりもかなり柔軟に自分の興味分野を探求できる(例えば、20世紀フランスの経済史について勉強したかったら本を勧めてくれる)。
・先生がとても優しくてお若いので、お話がしやすい。
・先生がイギリスの大学で研究されていたので、ディスカッションが盛んなイギリス式の全員参加型ディスカッションを体験できる。ディスカッションがメインの授業なので、特に議論が好きな人、院進、交換留学などに行く人にとってはいい訓練の場になると考えられる。
・前期課程と違って、自分の興味・関心に沿った問いの構築ができる。
・物事を分析的に考えられる力をつけることができる。

こういう人におすすめ!

・議論好きな人。
・院進や交換留学に興味がある人。
・経済学・経営学が前提としてきた市場経済がどういうメカニズムで生まれたのかと言うことを探究したい人。
・経済学の未来について歴史学的な視点から考えたい人。
・歴史的思考の作法そのものを身につけたい人。
・雰囲気としては文学部のゼミと似ているため、経済学を学んでいるだけでは得られないような視点を得たい人(イギリス史専攻の文学部の人が来ていたこともあった)。

大変なところ

・文献(本・論文)をたくさん読む。先生も言えば対応してくれるが、ベースとなる読書量は多くなる。
・少人数になりがちで、ディスカッションベースなのでそれぞれのゼミの中でかなり能動的に参加しないと意味がない。資料を読んで話す準備を事前にする必要がある。

新歓日程詳細

経友会や学部で決めている新歓の日程に従って行う。
先生と話す機会が新歓の過程であるはず。とても気さくで話しやすい先生なのでぜひ一度お話に!

古典的名著について(紹介: 山本先生)

E.H.カー、近藤和彦訳『新版 歴史とは何か』(岩波書店、2022年)
「歴史とはファクトを積み上げるものなのではないか」といった漠然とした印象をお持ちの方に強く薦めたい一冊。古めかしい訳ですがより安価な岩波新書のものでも良いと思います。

キース・ライトソン、中野忠・山本浩司訳 『イギリス社会史 1580-1680 ― 経済・社会秩序・文化』
市場が豊かさと格差を同時にもたらすというパラドックスを活写した名著です。山本の解説付き。 (歴史学ではないけれど、強くおすすめしたいのが次の2冊)

プラトン『ソクラテスの弁明』納富信留訳 (光文社古典新訳文庫、2012年)
(知らないことをその通り知らないと認識し、そしてもっと知りたいと追求する姿勢を「無知の知」という。それが知を愛すること、フィロ・ソフィアの原点になります。

ヴァージニア ウルフ『自分ひとりの部屋』 片山亜紀訳 (平凡社ライブラリー、2015年)
男性として育ち生活すること、女性として育ち生活すること、その大きな違いについて考えさせる名著です。卒業する前にぜひ読んでおいてほしい一冊。